現在執筆中の本の第一稿を少しずつ公開していく企画、ここまでの更新分ははこちらです。
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1-1.分かるとは何か
まずは学びの目標である分かるとはなにかについて考えてみましょう。
あなたはいまこの文章を読んでいます。日本語として理解しているはずです。
たとえばシとツ、ソとンなど似たような形のものも簡単に読んでいくことができるでしょう。
しかし、これが全く日本語を知らない人であればどうでしょう。実はかなりハードルが高いのではないでしょうか
シン・ゴジラをツン・ゴジラと読んでしまうかもしれません。なんとなくツンデレっぽいですね。1
こうした例からもわかる通り、分かるとは「区別」することが含まれます。日本語ではなく英語であると区別することは「分かる」ことの一種です。
分かるとは文字通り「分かつ」ということであり、分かるとは区別するということであるというのはイメージがつきやすいのではないでしょうか。
では区別することさえできればわかったといえるかというと、そうではありませんね。
たとえば区別はできたとしても、その細かさや掘り下げ方には人によって大きな違いがあります。
たとえばわたしは犬と猫は区別をできますが、猫の種類はほとんどわかりません。
こっちはかわいい、こっちはもっとかわいいといった区別をしています。
区別の細かさが粗いといえるでしょうし、自分の趣味という主観に基づいているともいえます。
あるいはレストランでご飯を食べた時、たとえば妻であれば「スパイスが利いていておいしい」「工夫すれば家でも再現できそう」といった感想が出てきます。
しかし、私にとっては「おいしい」「まぁまぁ」「あんまり」といった浅い感想しかでてきません。料理に対して掘り下げ方が甘いのです。
料理には料理方法や調味料などの背景があるはずなのですが、そこまで目が向けられていません。
逆に『世界は「日記」でできている』という本を書いたように「日記」について掘り下げ方は深度はひとにはそうそう負けない自信があります。
つまり分かるとは「区別」することであり、さらにその区別にも細かさや深さが人によって違ってくるということが分かります。
しかし、区別さえできていれば分かっているのかというとそうではありません。
「分かる」について細かさや深さ以外の要素として挙げられるのが「つながり」です。
何か趣味の話をしたときに「分かる」と相槌することもありますが、主観に共感点があるということでもありますね。
あるいは「ハブ」と「マングース」です。ハブとマングースそれぞれがどういった動物かというよりも、ハブにとってマングースが天敵であるという繋がりを知っている人の方が多いのではないでしょうか。
わたしもマングースと言われても、なんとなくイタチのようなシルエットが浮かぶぐらいですが、天敵という繋がりは「分かって」います。
このように「分かる」には区別したもの同士がどのようなつながりがあるかという面があります。2
分かるとは区別することであり、その区別の仕方も細かさや深さがあり、さらに区別されたもの同士の繋がりといった要素があることが分かります。
ここで学ぶということに立ち戻ってみると、学ぶことは自分の「分かる」の細かさや深さ、つながりを変化させていく行為とも言えます。
ハブとマングースについて学んでみます。3
沖縄のハブにはヒメハブやタイワンハブもいる(細かくする)
ハブは毒蛇である。マングースは外来種である(深める)
ハブにとってマングースは天敵である(つなげる)
もちろん、あなたが何かを分かった時、細かくしたのか、深めた、つなげたのかを意識することはほとんどないと思いますし、どれか単独で起きるのではなく、同時に起きることの方が多いでしょう。
しかし、分かるの3つの面を理解しておくのは重要です。
なぜなら分かるとはこの3つの要素が関わるのであれば、何かを分かるためにはこの3つが実行できればいいのです。45
もうちょっと他の例も考えたい