前回英語のスキーマを育てるのであれば、英作文が一つの方法であると紹介しました。英作文ならじっくり吟味することができるからです。
前回記事:英語を「自分の言葉」にするには英作文がいいらしいという話
もう一つ英語のスキーマを育てる方法があります。
この英単語はどんな文脈で使われるのか、一緒に使われるのはどんな英単語かといったことを自分なりに吟味するのです。
吟味することで、自分の中に英語のスキーマが育っていきます。
といってもいまいち想像しにくいと思うので、今回は私が『英語独習法』を読んで実際に英単語を吟味してみたプロセスをご紹介します。
今回やってみたのはlook,see,watchの英単語です。ものすごく基礎的な英単語といえるでしょう。
しかし、日本語ならすべて「見る」と訳せてしまうような英単語です。
watchは「注意深く見ること」といった知識は、私自身なんとなくわかっていますが、それがスキーマとは到底なっていません。
単なる頭の中の知識にとどまっています。
というわけで実践です。
まず英単語を英英辞書で調べてみました。一番最初に載っていた説明の一覧です。
ここで違いを自分なりに考えてみます。
lookは「見る」というより「目を向ける」という感覚かな?
watchはやっぱり注意深く見るということだろう
seeは「見る」というよりは「認識する」が近い気がする
次はコーパスを使ってみます。コーパスは一緒によく使われる英単語を一覧にしてくます。
SKELLという無料のコーパスを使ってlookについてみてみました。
この中でlook and see/watchという表現が出てきます。つまりlookしてからsee、あるいはwatchできるということです。
ここから「lookはseeやwatchの初期動作のようなイメージなのかも」と予想できます。
と、こんな具合に英単語を調べて、吟味することで英単語への理解が進みます。
もちろんこれは現時点での私の理解です。正確な理解とは少しずれているかもしれません。
しかし、自分なりに考えたことは頭の中に定着します。
そして、そのうちに違和感のある使い方に出会うはずです。
その違和感をもとにずれを修正していく、それは時間はかかるかもしれませんが、最終的には効率のいい学習法なのではないかと思っています。
実際にこどもはそうやって言語を学習しているはずです。
すぐに剥がれ落ちてしまう正確な知識を自分に張り付けるよりも、わずかでもいいから自分の中に取り込み、消化するのです。
消化が足りなければ牛のように反芻して、また消化すればよいでしょう。こうして反芻することは、英作文に対応していると考えています。
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というわけで最近は新しく英単語を覚えるよりも、英単語を吟味するほうに重心を置いています。
新しい発見があって楽しいものです。
その発見の楽しさが、また次の単語を吟味するための背中を押してくれます。
ぜひ英単語を覚えるだけでなく、吟味してみてくださいね。