他のひとのこと、考えられていますか?
独学ラジオに出演いただいたときにbeckさんからおすすめをいただいた本のひとつが『自分の小さな「箱」から脱出する方法』です。
表紙は見たことがあるものの、おすすめがなければ読まなかったと思います。
こういった本との出会いはうれしいものです。
本の概要をAmazonから引用します。
身の周りの人間関係はすべて自分が原因で引き起こしている。 それこそが、本書のいう「箱に入っている状態」である。
「どうして彼は問題ばかり起こすのか?」
「なぜパートナーは勝手なことばかり言いだすのか?」こうした問題を、私たちは「相手の問題」と考えがちだが、本当の問題は「自分」にある。 読み進めるうちに、家庭や職場での人間関係を深め、十分な成果を出す環境を作る方法を学べる。 世界的ベストセラーであり、日本でも25万人が読んで大反響を巻き起こした名著。
この本を読んで考えたのが、自分の考えをそのまま他人に当てはめることの無自覚さです。
この本の中では自己正当化をすることで「箱の中」に入ってしまうとたとえています。
わたしたちが自己正当化して箱の中に入るとき、逆に言えば自分以外の人がひどい人でいなければ困るのです。
「酸っぱい葡萄」の物語に出てくる狐にとって、ブドウはすっぱい方が自分の思い通りで都合がいいのです。
ただそれは自分の「思い通り」だったとしても、とてもつらい世界のように思えます。
なぜこのようなことが起こるのかというと、自分を変える方が楽だからではないでしょうか。
「他人は変えられないから、自分を変えよう」といった自己啓発的な文言がありますが、意図してもしていなくても、私たちは自分を変えていることを知っておく必要があると思います。
むしろ自分を変える方が楽なこともあると知っておいた方がよいでしょう。
世界は思い通りになりません。そのとき、自分の認識を変え、世界をそのままにします。
箱の中に入ったままとなるのです。
では箱の中から出て、箱の外に働きかけるには?
本書では「自分が間違っているかもしれない」と考えることで箱の外に出ることができるとしています。
自分は間違っているかもしれない。
そう考え、自分を揺さぶり、箱の外に目を向ける。
これも自分を変えているという点では同じですが、箱の外に働きかける変化と働きかけない変化があることに気が付きます。
自己正当化は自分を押し固め、逆に自分を疑うことは自分をほどくことともいえるでしょう。
他人のことを考えるために、まず自分を揺さぶり、自分の境界線をほどくことで初めて他人へ橋がかかるのかもしれません。
「他人のことを考える」といいますが、他人のことを考えているようで、自分の予想や想いをただ押し付けていることがあります。
自分が完全に正しいと思っているとき、もし他人のことを考えていたとしても、それは他人を見ているのではなく、ただ単に鏡に映っている自分を他人と思い込んでいるだけなのです。
箱の中にとどまらず、箱の外に一歩出る、そのために自分を揺さぶる。
その手法として使えるのが独学やノート、日記だと思います。
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