ここは太平洋のど真ん中の孤島、人の手は入っておらず、自然が満ち溢れている。
森には鳥が飛び、泉ではカエルの鳴き声が聞こえている、花が咲き誇り、チョウが蜜を吸っている。
とてものどかな風景だ。
さて、この文章を読んだとき、おかしい部分がひとつあります。お気づきでしょうか。
シンキングタイムです。
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正解は「孤島にカエルはいない」です。
正確には大陸から離れた大洋島には空を飛べない固有の陸生脊椎動物はいません。
そんなことを教えてくれるのが『なぜシロクマは南極にいないのか』です。
環境の障壁が生物に大きな影響を与えることを教えてくれます。
環境が似ていると、似ている生物が生まれてくるわけではないのですが、どこかそう思ってしまっていました。
タイトルの『なぜシロクマは南極にいないのか』の理由も、海が凍っても南極大陸が他の大陸と氷でつながったことがないためです。
そのため、長距離泳げないクマは南極にたどり着くことができません。ただ寒いからといって、シロクマが生まれてくるわけではないのです。
ちなみにゾウは意外と泳げるので、孤島にピグミーマンモスの化石が出てきたりします。
他にも環境の障壁が生物に影響を与える例として、島に生息する鳥は天敵が少ないため飛べなくなっていくことが知られています。
逆に言えば、飛ぶというのはそれだけハードなことなのでしょう。
ですから、そこに天敵がくると絶滅してしまいます。たとえばモーリシャス島に住んでいたドードーが絶滅してしまったことが一番有名でしょう。
さらに島という概念を拡大すると、面白いことが分かります。
昔は南アメリカ大陸は北アメリカ大陸と隔たれていたため、一種の大きな島だったといえるのです。
パナマ地峡が形成されて北と南がつながったとき、大きな生態系の変化が生まれました。
特に北アメリカはその当時は現在のユーラシア大陸とつながり、ローラシア大陸という巨大な競争の激しい大陸となっていたため、生存競争に有利な進化が進んでいました。
そして、それは南アメリカ大陸という大きな島の固有種が生存競争に不利なことを意味していたのです。
巨大なナマケモノのメガテリウムなども絶滅しました。
こうした環境の障壁が種の多様性へ大きな影響をもたらします。
逆に大陸ほどの大きな視点ではなく、もっと細かな視点で見てもおもしろいですね。
たとえばジャングルは生物の宝庫といわれ、たくさんの種がいます。
進化によりたくさんの種が生まれる理由は、ジャングル内には障壁がたくさんあるからです。
うっそうとした木々が茂り、地理的な障壁が細かく存在しています。
そのため、種が混ざり合わずに進化しやすいとされています。
その他にも、南極にはもともとたくさんの生物がいましたが、今はコウテイペンギンだけが唯一の生き残りであるなど、いろいろ印象に残る内容が多かったですね。
こうした分野に興味がある方は手に取ってみてください。
と書いたものの、Amazonには中古本などしかないので、図書館などで借りてもいいかもしれませんね。
同じ分野で人間にフォーカスした『銃・病原菌・鉄』などを手に取ってもいいかもしれません。
こういう本を読むと、どこかわくわくしますね。ではでは。
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